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高齢者の一人暮らしの不安と解決策について~できるだけ長く自宅で過ごすには~

高齢者の生活の困りごとを解決

世界一の長寿国である日本。それは大変誇らしいことでもありますが、一方で高齢者の皆さんは生活の中で抱える不安をたくさん持っておられます。

特に一人暮らしの高齢者は悩みを相談できずに日々の困りごとに頭を抱えたり、トラブルに巻き込まれることもあるでしょう。家族としても同居していなければ状況の把握が困難で、心配がつきない人も多いかもしれません。

今回は一人暮らしの高齢者が抱える不安について解説し、具体的に想定できる不安に対しての解決策も紹介します。

高齢者の生活が少しでも安心できたり、住み慣れた自宅で過ごせる時間が増えることに繋がればと思いますので、ぜひ最後まで読んでいただき、在宅生活のヒントにしてください。

高齢者の一人暮らしの実態と増加の理由

まずはじめに一人暮らしの高齢者の実数やこれまでの推移についてお伝えしたあと、一人暮らし高齢者が増えているのは何故かについて分かりやすく説明させていただきます。

日本の一人暮らし高齢者の実態

厚生労働省「国民生活基礎調査の概況(2022年)」では65 歳以上の者は 4029 万 7 千人となっています。世帯構造をみると「夫婦のみの世帯」が 882 万 1 千世帯(65 歳以上の者のいる世帯
の 32.1%)で最も多く、次いで「単独世帯」が 873 万世帯(同 31.8%)、「親と未婚の
子のみの世帯」が 551 万 4 千世帯(同 20.1%)となっています。

高齢者のみの世帯は1,600万世帯を超えており、そのうちのおよそ半数である51.6%が「高齢者のみの単身世帯」です。「単独世帯」をみると、男性は 35.9%、女性は 64.1%となっていて性別と年齢構成をみると、男は「70~74 歳」が 28.7%、女は「85 歳以上」が 24.1%で最も多い状況です

高齢化や未婚率の上昇に伴い、今後も高齢者の単独世帯はさらに増えていくことが予測されます。

高齢者の一人暮らしが増える理由

高齢者の単独世帯が増えている背景には家族構成や考え方の変化が影響しています。この2つの変化についてもう少し詳しく説明します。

家族構成が大きく変化

一昔前は子どもと親、祖父母の三世代の家族が同居する家も多くありましたが、現代では祖父母と離れて暮らす核家族が一般的になっています。

家族のあり方についての考えも、自分の生活スタイルに合わせるようになり、高齢になった親を子どもが同居してみる形は時代の流れの中で少なくなっています。

また単身者や子どもをもたない夫婦が増えていることで今後も独居世帯は増えていくと思われ、高齢者が孤立してしまう可能性はさらに大きくなるかもしれません。

高齢者自身の希望

実は一人暮らしの方が気楽で良いと感じる高齢者も増えてきていることが内閣府の調査でも分かっています。生活習慣の違う世代と同居するストレスより、自分のペースで暮らせる一人暮らしを希望する人が一定数いるようです。

またいざ自宅での生活が困難になると子どもたちに迷惑をかけたくないと感じ、すすんで老人ホーム等に入る人も増えています。介護サービスも充実してきたので、状態に合わせながらサービスを利用し自宅生活を続ける人もいます。

このように一人暮らしが増えている背景には以前よりも施設やサービスの選択肢が増え、家族以外がサポートできる仕組みができていることがあげられます。

一人暮らしの高齢者が抱えやすい心配ごと

高齢者が一人で暮らしていると様々な心配ごとがあります。以下に考えられる大きな心配ごとについてあげていますので、参考にしてください。

健康不調や体調の急変がある

高齢になると病気のリスクはあがり、特に心臓病や脳梗塞などの重篤な症状がでた場合は入院することもあります。また一人暮らしだと対応が遅れたり、救急搬送が出来ず最悪孤独死につながる可能性もあります。

慢性的な病気の場合では定期的な受診や服薬がつきものですが、一人暮らしだとつい受診が途絶えたり、薬の飲み忘れも増ええてしまうのが現状です。そうなると徐々に病状が悪化し、これまでの生活の継続が難しくなることもあります。

また筋力の低下から転倒するリスクもあり、骨折でもすれば病気と同じように入院したり、状態の低下につながってしまいます。このように一番の一人暮らしの不安は病気や転倒であり、特に急変に対しての不安は大変大きいものでしょう。

高齢者をねらった詐欺被害

詐欺被害者の多くが高齢者というデータもあり、一人暮らしだとさらに詐欺にあいやすいといえるでしょう。特に特殊詐欺のオレオレ詐欺や架空請求詐欺の他、強引な訪問販売などは日中に自宅に居る高齢者がターゲットになってしまいます。

詐欺グループも年々手口が巧妙になっており、どんなに気を付けていても、判断力を鈍らせるようなシチュエーションをつくり、何とかお金を引き出そうとします。

一人暮らしであれば孤独感を感じている人も多いため、そんなときに言葉巧みにコミュニケーションをとる人に会えば騙される可能性も上がってしまうでしょう。

認知症の進行

2025年には高齢者の5人に1人は認知症になるといわれています。高齢化が進むと必然的に認知症になる方も増えるので今後も認知症の方は増えていく見込みです。

特に一人暮らしの高齢者はなかなか認知症の症状に本人も周囲も気づかず、治療やサポートが遅れてしまいます。また認知症の進行を予防する方法として人と交流したり、おしゃべりをすることがあげられますが、一人暮らしの高齢者はそれらの機会も少なくなります。

認知症の症状が出ると外に出にくく家に閉じこもりがちになり、さらに症状が悪化してしまうという悪循環に陥ってしまいます。

社会的孤立

同居している人がいれば、会話もあったり他の人とのつながりも生まれるかもしれませんが、単身であれば、話す人がおらず地域とのつながりも薄れてしまいます。

またインターネットの普及で家に居ながらでも色々なものを注文して欲しいものが手に入る時代になっています。これは大変便利なことではありますが、人とのつながりの希薄さを加速させることになりました。

さらにここ数年の新型コロナウィルスの影響で、地域の集まりや趣味サークルのような活動も減り、高齢者の孤立化は益々深刻化している状況といえるでしょう。

高齢者の一人暮らしを安心して続けるための方法

これまで一人暮らしの高齢者の生活で起こるリスクや不安について説明しました。ここではそれらの不安感を解消するためにすぐにできることを解説します。

高齢者自身で健康づくりに取り組む

まずは高齢者ご自身が健康に留意し、日々の生活のなかで病気になりにくい体を意識し、行動することが大切です。それは食事であったり、簡単な運動であったり、無理のない範囲で改善できるところがあれば早めに行いましょう。

ご自身では何をして良いか分からないことも多いと思いますので、家族から改善案を提案することはできます。また定期的に連絡をするだけでも状況が分かったり、繋がりを感じることで、ご本人も元気がでます。

健康につながる自宅でできる運動方法について分かりやすくまとめた記事がありますので参考にしてみてください。⇒運動しにくい高齢者でもすぐに自宅で出来る筋トレメニューを紹介

見守りサービスの活用

最近は高齢者の一人暮らしを支える色々なサービスや便利なグッズがあり、個々の状況に合わせて利用することができます。

例えば遠く離れた家族でも異常を感知したり通話ができる見守りカメラや緊急時に警備会社が駆けつけてくれるサービスなどがあります。どれも近くにいない家族に代わって高齢者の生活を支える安心できるサービスです。見守りサービスの中でもWiFi環境が無くても使える見守りカメラの記事を紹介します。⇒ネット環境なしでも使える高齢者の見守りカメラとは?

またお弁当を配達してくれる宅食サービスはついでに高齢者の安否確認もしてくれるところもあり、バランスの良い食事提供と併せて何か変わったことがないか定期的に気にしてくれるので安心です。宅食サービスについても分かりやすく説明したリンクも貼っておきます。⇒

介護保険サービス等の活用

介護保険サービスは体の動きにくさや物忘れ等で介護認定を受けて利用するサービスなので、介護状態にならないと使えないイメージがあるかもしれません。

しかし制度の目的は自立を支援することですので、出来にくい家事のサポートやリハビリを受けられるなど、介護予防につながる利用も提供します。

「足腰の痛みで外に出ることが困難で買い物をお願いしたい」「他の人と交流しながら運動する機会がほしい」などの希望に合わせて、訪問介護や通所サービス等の利用を保険サービスとして活用できます。

また自治体で介護予防支援に力を入れているところも多く、地域で介護予防体操をしたり、一人暮らしをサポートする取り組み(配食支援や緊急通報システム)もありますので、各地域の介護保険担当窓口や包括支援センターに問い合わせてみることをおすすめします。

まとめ

人生100年時代で今後益々一人暮らしの高齢者の数は増えていくでしょう。一人ひとりの人生がその人らしく安心して過ごせるよう、不安やリスクに対して適切に対応していく必要があります。

時代の流れや感染症の関係で確かに地域とのつながりや人とふれ合う機会が減少しているのは確かです。しかしそんな中でも高齢者をサポートできるサービスやグッズ、地域資源はたくさんあります。

今回の記事を読んでいただき、少しでも安心して過ごせる高齢者の方が増え、住み慣れた自宅の時間がより豊かになることを願っています。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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