日本に800万人いるとされている団塊世代が75歳以上になる2025年まであとわずかです。国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上の高齢者になります。
これだけ高齢者が増えると、医療や保険、福祉に大きな影響が出ることが予想され、高齢者を地域で支えるためには社会保障や制度だけでなく、柔軟な高齢者支援の体系づくりが必要になってきます。
今回は地域で高齢者の生活を支えるために、「あったらいいな」と思えるサービスをあげ、超高齢社会の中で、何が求められているかを分かりやすく説明します。
是非最後まで読んでいただき、これからのご自身やご家族が地域社会で生活しやすいヒントになればと思います。
高齢者がサービスを必要とする理由
まずはじめに高齢者が支援を必要とする理由についていくつかあげてみます。高齢になることで病気や筋力低下から起こる様々な影響や、社会の中での立場も変化していく中で起こる「困りごと」について整理してみました。
身体的な低下からできないことが増える
やはり高齢になることで困ることは身体的な低下から、動きにくさがでてくることでしょう。これは老化現象なので自然なことでもありますが、ちょっとした工夫で苦労を軽くしたり、低下を予防することができますので、そういった情報を知ることは大切です。
また病気による健康面の変化から生活に大きな影響が出る人も少なくないでしょう。脳梗塞などの麻痺が出る病気や転倒による骨折などは、急に人の支援が必要になります。
こういった病気や怪我は高齢になるほどリスクがあがるので、高齢者支援のニーズは必然的に上がっていきます。
人とのつながりの場が減り気持ちが低下
高齢になるとどうしても外出機会が減ったり、知人や家族との交流も減るので「人とのつながり」の機会がなくなります。これは身体的な低下から外に出にくくなる場合と、これまで仲良くしていた知人が病気になったり亡くなったりすることで社会的に孤立してしまう場合などがあげられます。
人と会わなくなると刺激がなくなり、身だしなみにも気を遣わなくなるので、徐々に気持ちも低下してしまいます。そうなるとさらに外に出るのがおっくうになり、より孤立度が高まってしまうという悪循環になります。
高齢者のうつ症状はこういった背景から起こることも考えられ、人とのつながりがなくなることが人に与える影響は大変大きいものといえるでしょう。
物忘れが多くなり管理ができにくくなる
高齢者の代表的な病気のひとつに「認知症」があります。認知症の主な症状として短期記憶障がいや場所や人が認識できにくくなる見当識障がいなどがあげらますが、これらの症状が原因になり生活の中で大きなトラブルをうむことがあります。
具体的なことでいえばゴミ出しの日が分からなくなったり、買い物で同じものを買ったり、薬の飲み忘れが増えるなど、小さな問題を日々重ねていくようなことが起こります。
また金銭管理もできにくくなり、計画的にお金を使えなくなったり、公共料金の支払いができなかったりと生活につきもののお金のことで様々なトラブルが起こります。
このように物忘れを起因とし、生活の中で管理できにくくなることが増えてくると周囲のサポートが必要になる場面が増えていきます。
医療費や介護費がかかり経済的な負担が大きい
高齢になると仕事をする人は少なく、どうしても年金だけの収入で生活していく人が多いですが、生活費に加え、医療費や介護費用が上乗せされ、経済的に負担を感じることが生じてきます。
また社会保障費の見直しや少子化対策の財源確保のため、今後さらに後期高齢者医療等の利用者負担は増えていくことも考えられます。
低所得世帯には様々な減額制度があり、しっかり活用することで負担を軽減できますが、手続きが必要だったり、書類の理解に困って、せっかくの制度を活用できていない人もいます。
このように現在の社会保障の背景や高齢者の制度理解ができにくいことで、個々の経済的な負担が大きく、生活が困窮してしまう人がさらに増えていくことも考えられます。
高齢者のサービスであったらよいもの5選
前半は高齢者に支援が必要な理由についていくつかあげ、それぞれについて説明させていただきました。では実際にどのようなサービスがあれば高齢者の暮らしは安心できるものになるでしょうか。「あったらいいな」と思う主なサービスについて5つあげていますので参考にしてください。
家事代行サービス
高齢者が生活をしていくうえで身体的に動きづらさがでてくると、買い物や掃除などが大きな負担になってしまいます。そんな時に家事を手伝ってくれるヘルパーさんのような人がいたら大変助かるでしょう。
家事代行サービスは有償サービスですが、社会福祉協議会等が提供しているサービスや介護保険サービスとして利用すると比較的負担が少なく利用できます。(介護保険サービスには介護認定を受ける必要有)
また食事の支援を受ける方法として最近は配食サービスが有効です。配食サービスについては以前詳しく紹介した記事がありますのでリンクを貼っておきます。⇒高齢者のおすすめ宅配弁当は?冷凍でも美味しく食べられる業者選びのポイントを解説
移送サービス
高齢者が外出しにくくなる大きな理由に歩きぶりが悪くなって移動の不安が大きいことがあげられます。移動手段としてバスやタクシーがありますが、地方になると公共交通機関の便も少なく、タクシーだと金銭的な負担も多いので躊躇します。そんなときに気軽に自分の希望の場所に運んでくれるサービスがあれば助かりますね。
具体的なサービスとしては地域のコミュニティーバスや乗り合いタクシーの活用があげられます。これらは地域によって様々な取り組みがされているので、気になる方はお住いの役所に聞いてみると良いでしょう。
また身体的に不自由な人は福祉タクシーの利用がおすすめです。利用料金はやや割高ですが、車いすを持参して介助もしてくれるところが多く、安心して外出を楽しめるサポートのひとつです。
見守りサービス
近年どんどん高齢者の一人暮らしが増え、それに伴って生活する上での不安感や困りごとが増しています。そんな高齢者の安否確認やトラブルに巻き込まれないようにするサービスとして、見守りサービスがあげられます。
代表的なものとしては警備会社が365日24時間で何かあれば駆けつけてくれるサービスがあり、何かあった時に自宅にある緊急時ボタンを押せば、すぐに対応してくれるため安心です。
その他には弁当や商品の配達ついでに安否確認をしてもらったり、認知症で一人歩きのリスクがある人は地域で見守る仕組みをつくっている市町村も増えています。
また人に頼らずにカメラを使って見守りをするかたちも増えてきました。高齢者の自宅はインターネットを取り付けていないところも多いと思われ、インターネットが無くても使える見守りカメラについてのリンク先も添付しておきます。⇒ネット環境なしでも使える高齢者の見守りカメラとは?~離れていてもサポートする方法~
地域サロン等の活動や交流
高齢者が地域で生活していくうえで人とのつながりづくりは大変重要です。家族や知人との関わりが少しずつ減り最終的に孤立してしまうことを防ぐために、ちょっとした運動や趣味活動ができる地域のサロン等に参加することをおすすめします。
ただ今まで馴染みの少ない新たな場所に足を運ぶのは抵抗がある人もいると思います。場所は地区の公民館や集会所などを利用し、徒歩で通える気軽なところで自分のペースで参加できるので、まず一度試してみてはいかがでしょう。
高齢者サロンは社会福祉協議会が中心となって進めており、自治会等の地域住民が主体となって運営しています。簡単な運動で介護予防を行ったり、囲碁や園芸、音楽鑑賞など好きな趣味活動に参加することで、生き生きとした時間を過ごすことができます。
詳しいことはお住いの社会福祉協議会や地域包括支援センターに情報がありますので、是非確認してみてください。
金銭管理サービス
物忘れ等が進んでくるとお金の管理が難しくなることは前半のところでふれました。主な原因として認知症の進行があげられますが、そういった時の支援として社会福祉協議会が行っている「日常生活自立支援事業」というサービスがあります。
主な金銭管理サポートとしては年金等の受領に必要な手続き支援や日常生活に必要な預金の払い出し支援などがあげられます。基本的に本人に判断能力があり、同意を得ながらの利用になりますが、認知症状が進むと成年後見制度に切り替わることもあります。
お金のことについてはなかなか話を切り出すことが難しいですが、後になればなるほど支援が難しくなることも多いため、タイミングを見ながら具体的な管理の仕方を話題にすると良いでしょう。
まとめ
今回は高齢者の自宅生活を支えるために「あったらいいな」と思えるサービスを5つあげてみました。どれも生活に必要な要素が高いものでありますが、地域によって特性も様々ですので各市町村の役場や社会福祉協議会、地域包括支援センターで詳細を伺うことをおすすめします。
住み慣れた自宅でできるだけ長く過ごしたいことは多くの高齢者の願いです。自宅生活を諦め早い段階から施設に入る人も増えていますが、在宅サービスを調整したり工夫することで、自宅での時間を伸ばすことは可能です。
今回あげたサービス内容を参考にして、少しでも安心できる時間が作れることを願っています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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