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高齢者が介護になりやすい主な病気についてランキング形式で解説 

高齢者の生活の困りごとを解決

日本の高齢化率は毎年上がっており、それに併せて2023年現在、高齢者の5人に1人は何らかの介護を必要としているデータも出ています。

高齢になっても自分で身の周りのことをこなし、健康で豊かな生活を続けたいことは皆が望んでいる大きな希望でしょう。

しかし高齢になるとどうしても病気になりやすく、病気がきっかけで介護状態になることは少なくありません。

ここでは高齢者が介護になりやすい主な病気や原因についてふれ、あとから病気を予防する方法にふれています。ぜひ介護予防の参考にしていただき、健康寿命を伸ばすヒントにしてください。

介護が必要になる主な病気トップ3

介護が必要となった主な原因について、令和4年の国民生活基礎調査では「要介護者」では「認知症」が 23.6%で最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」が 19.0%となっています。また介護が軽度の「要支援者」では「関節疾患」が 19.3%で最も多く、次いで「高齢による衰弱」が 17.4% となっています。

ここでは介護に繋がりやすい病気や原因のトップ3をあげ、それぞれの特徴について分かりやすく説明します。

1位:認知症

介護が必要になる病気の第1位は「認知症」であり、やっぱりと思う方も多いかもしれません。原因としては「アルツハイマー病」や「脳血管障害」によるものが多く、単なるもの忘れとは違って、脳の病気に分類されるのが認知症です。

認知症は記憶障害や場所と時間が分からなくなる見当識障害から、抑うつ症状や幻覚・妄想等の周辺症状が悪化し、生活に大きな支障がでてしまいます。

認知機能が低下することで身の周りの生活動作に声掛けが必要になったり、症状が進行するとトイレの失敗や徘徊等で介護の手間が大きくなるケースもあります。

2位:脳血管疾患

脳血管疾患は脳の血管が詰まったり、破れたりすることで脳細胞に大きなダメージが残る病気です。高血圧が大きな原因で脳梗塞・脳出血・クモ膜下出血などがあげられます。

発症後すぐに適切な処置ができれば症状が軽い時はありますが、程度が重かったり、処置が遅れると重度の後遺症等が残ることもあり、命の危険も伴う病気です。

後遺症としては半身麻痺だけでなく言葉が上手く出ない障がいや認知症状などが出現し、介護が必要な状態になる人も多いです。

3位:転倒・骨折

介護が必要になる原因で認知症と脳血管疾患の次にあげられるのが、転倒による骨折です。高齢になると筋力が低下し、転倒のリスクが上がることに加えて、骨の密度も低くなり、骨折しやすくなります。

一度骨折すると回復力も低下している高齢者が元の状態に戻るのは、かなり大変なことであると想像できるでしょう。また寝ている状況が続くと筋肉量が減少し、1週間動かないと筋力が10~15%落ちるデータもあります。

このように転倒して骨折することは要介護状態や寝たきりの原因になってしまうことが、よく分かります。

その他 高齢者が気を付ける病気

糖尿病:誰もが知っている生活習慣病の代表格。血液中の血糖値が高くなり合併症として様々な症状が現れます。糖尿病により血管がもろくなると、脳血管疾患や心筋梗塞等の重篤な病気につながるので、早い段階での治療や生活習慣の改善が必要になります。

誤嚥性肺炎:食事の際に食べ物が間違って気管に入ってしまい口にあった菌が肺に入ることで起こる炎症です。高齢者の入院のいつも上位になる誤嚥性肺炎も気を付けるべき病気の一つでしょう。どうしても飲み込む力や反射能力が低下する高齢者は、咽る力も弱く誤嚥しやすくなってしまいます。

関節疾患:介護状態になりやすい病気として関節疾患もあげられます。代表的なところで変形性膝関節症があり、O脚変形をきたしているほとんどの高齢者があてはまります。症状がひどくなると痛みで生活全般に大きな支障がでたり、歩行が困難になってしまいます。

高齢者が病気になりやすい理由

ここまでのところ高齢者がなりやすい病気についてふれました。今度はなぜ高齢者が病気になりやすいのかについて説明しますので、より高齢者の病気の理解につなげていただければと思います。

内臓機能の低下

高齢者の臓器は長年使用することで老化し、機能も落ちていきます。臓器機能が低下することで体の中で様々な障害が起こってしまいます。

例えば心臓の機能が低下すると血液を体に送るポンプ機能が落ち、全身に血が十分に巡らなくなって疲労感やめまいがひどくなります。悪化すると心不全のように命に関わってくる病気になることもあります。

また腎機能が低下すると老廃物のコントロールができにくくなり、これも腎不全などの重大な病気につながるなど、臓器の老化による健康面への影響は大変大きいものになります。

筋力と活動量の低下

高齢になると筋力が徐々に低下し、転倒を心配するあまり、動くことが減ってしまいます。これが悪循環になり、さらに筋力が落ちてどんどん動きにくくなります。

また活動が減ることは高血圧や糖尿病などの病気を引き起こすきっかけにもなり、そこから様々な病気につながることもあります。

さらに介護の原因になる転倒・骨折も筋力や活動量の低下によるものであり、人間が健康状態を維持するために、いかに筋力維持や体を動かすことが大切か分かるでしょう。

一人暮らしの増加

高齢者の独居世帯が増えたことで日々の健康管理ができにくくなり、体調や生活習慣が乱れてしまうことはあるでしょう。定期的な受診や服薬がいつのまにかできにくくなり、久しぶり訪れた家族が状態の悪さに気づくこともあるかもしれません。

また人とのつながりが薄くなることは心の健康にも悪影響を与え、うつ症状や認知症の原因になる可能性もでてきます。閉じこもりがちになると活動量も低下し筋力も落ちるため、悪循環になってしまいます。

長年の生活習慣

何年も続けた生活習慣の結果で病気になることも多いです。分かりやすいのは喫煙で、慢性の肺疾患や糖尿病、がんの要因によくあげらるのは皆さんご存じでしょう。

また乱れた食生活や運動不足もこれまでお伝えした様々な病気の要因になり、高齢になって急に症状が進み、一気に介護状態になってしまうこともあります。

睡眠状況も健康面や認知面に大きな影響を与える要因であり、十分な睡眠が長い間とれていないとうつ症状や認知症のリスクが大きく上がります。

高齢者の介護状態や病気を予防するためのポイント

ではどうすれば介護状態を回避できるでしょうか。先に結論を言いますと、持病がある人は医療ケアで悪化予防を行い、持病がない人でも適切な生活習慣を身につけるという、いたってシンプルな答えになります。具体的なポイントは以下の通りです。

定期的な検診と必要なケア

糖尿病や高血圧症は早めに医療機関にかかってお医者さんから適切な助言や治療を受けることが大切になります。必要であれば症状に合わせて薬も処方されるので、服薬管理を行いながら、状態が悪化しないように努める必要があります。

また高齢者は症状が出にくい時もあり、定期的な検診を受けることで早期の治療に結び付きます。病状は発見が早ければ早いほど、予後も良好なので面倒でも1年に1回程度(できれば2回)の検診はやったほうが良いでしょう。

運動機会をもつ

やはり運動機会をもつことは生活習慣病の予防、筋力低下の予防、認知症の予防に大変大きな効果があり、最も介護予防に必要な要素です。

本来人間の体は運動をしないといけないつくりになっており、活動量が減ると筋力が低下するだけでなく血流も悪くなり、体に様々な不調が現れます。

転倒が心配でなかなか動きにくい高齢者もおられると思いますので、ここでは椅子に座ってできる運動が分かるリンク先を添付しておきます。⇒ 運動しにくい高齢者でも自宅で簡単にできる運動メニュー

バランスの良い食事と口腔ケア

運動と同じように大切なのがバランスの良い食事の摂取です。高齢になると体力が低下し、病気になりやすくなりますが、日ごろからしっかりとした食事を摂ることで病気にもかかりにくくなります。

またできるだけ健康な食生活を続けるためにも、高齢者の入院の原因にもなる誤嚥性肺炎を予防するためにも、口腔内を清潔に保つことは大変重要です。

誤嚥を予防し、しっかり口から美味しいものを食べることは人生の楽しみでもあり、心を満たしてくれる行為である食事の重要性が分かると思います。

人とのつながりをもつ

もう一つ大事なことは人と話をしたり、一緒に活動を楽しむなど「つながり」や「喜び」を感じることです。介護が必要になっている人が増えている背景には独居高齢者の増加や地域とのつながりの減少があると思われます。

「孤独」はうつ症状や認知症状を悪化させ、生きる気力そのものを低下させる怖いマイナス因子です。ここ数年のコロナ禍で、さらに繋がりの希薄さに拍車がかかり、状況は悪化している印象です。

定期的に家族や地域の人との「つながり」を感じられる環境づくりが運動や食事と同じように大事な介護予防のポイントになります。

まとめ

今回は高齢者が介護になりやすい病気や原因についてふれ、後半で介護を予防するためのポイントについて説明しました。

厚生労働省が発表した2019年の平均寿命は男性が81.4歳で女性が87.4歳でした。それに対して健康寿命は男性が72.7歳、女性が75.4歳になり、平均寿命との差がかなりあることが分かります。

具体的には男性は亡くなるまで8.7年、女性は12年もの間、何らかの介護が必要な状態といえます。できるだけ健康で生き生きとした生活を長く続けるために、健康寿命を伸ばしていきたいですね。

予防のポイントの内容は当たり前のことをあげていますが、結局バランスの良い食事適度な運動、人とのふれあいが大切ということが再確認できたと思います。

是非今回の内容を参考にしていただき、健康で充実したシニアライフを送っていただきたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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