「買い物難民」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。高齢者世帯の増加や地域の小売業者の廃業、交通アクセスの衰退により、高齢者を中心に買い物に行くことが難しくなっているという状況です。
高齢になると車の運転を止める人は多いですが、中には運転に危険を感じていても買い物に行けなくなることを理由に仕方なく続ける人もいます。ニュースでよく見る高齢者の車の事故はこうした買い物ができにくくなる背景もあると思われます。
ここでは買い物難民が増えている現状について整理しながら、実際にどうしたら安全に買い物ができるかについて詳しく解説しています。ご自分や家族の状況に合わせた手段について知っていただき、住み慣れた生活を続けていく一助になればと思いますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
高齢者が買い物難民になってしまう理由
生活に不可欠な食材や日用品を購入しにくくなってしまう買い物難民がなぜ高齢者に増えているのか、その理由についていくつかあげてみます。
身体面の低下と一人暮らしや老々世帯の増加
高齢になると足腰が弱りそれまで簡単に歩いていける距離も徐々に短くなっていきます。また車の運転も体や判断力の低下で止めてしまうので、気軽に外にでることが困難になってしまいます。
高齢者世帯の増加も買い物に行きにくくなる要因の一つで、若い世代と同居する高齢者が以前に比べて随分減っており、移動手段のサポートを受けにくくなっています。独居の高齢者も多く、家族形態の変化も高齢者が買い物に行きにくくなっている大きな要因の一つと言えるでしょう。
商店街やスーパーの衰退
全国的に大きなスーパーが広く進出することで、昔ながらの小さなスーパーが廃業していくニュースを聞いたことがある人もいるかもしれません。
長年地域に愛された商店街も以前のような盛り上がりもなく、小さいスーパーと同じように衰退傾向です。そういった状況が続くと、近所にあったスーパーや商店街がなくなり、高齢者が気軽に通っていたお店がどんどんなくなってしまいます。
散歩がてらの買い物ができなくなり、お店までの距離が延びると移動手段の問題が大きくなることで、買い物に行きにくい高齢者が増えてしまいます。
公共交通機関の減便
買い物ができにくくなる理由に移動手段がないことをあげましたが、公共交通機関の減便が進んでいることが要因の一つとして考えられます。運転手不足や交通機関の維持コストの問題で、毎年公共バスの数は減少し、数時間に1本という地域も少なくないでしょう。
またバス停や駅まで徒歩で歩くのも大変になってくる高齢者はタクシーの活用が考えられますが、利用料金を考えると割高になってしまい、誰もが気軽に利用できるサービスとは言えません。
以上のように交通機関の問題は買い物難民を増やすことに繋がる大きな要因になります。
高齢者の買い物難民問題を解決する方法
これまで高齢者の買い物ができにくい状況を説明してきましたが、ここでは具体的に高齢者が買い物に困らないためにどうすれば良いかお伝えします。活用できる移動手段から具体的なサービスまでまとめていますので、参考にしてください。
コミュニティバスの活用
コミュニティバスは主に地方自治体が主導して、地域の実情に合わせた交通機関を確保し、移動手段がない人の足となることを目的にしています。
大型バスが運行できない狭い道路や住宅街など、他の交通手段がないエリアで運行され、買い物弱者の高齢者にとっては大変有効な施策でしょう。
特徴として車は狭い道でも通れるようにワゴンタイプで、高齢者が乗りやすいようにノンステップの車が多いです。また利用者のニーズに応じてルートや時間などを柔軟に調整することもできます。(時間が決まっている定期便もある)
歩行器や電動カートの検討
お店まで徒歩圏内だけど歩行が不安定で買い物が難しくなった人には、一度歩行器を試してみてはいかがでしょう。最近の歩行器は大変バランス性が高くデザインも良いので、外出時の助けになってくれます。
また車の運転ができなくなり買い物が困難になった人でも電動カートだと近距離のお店であれば難なく行くことができます。電動カートは歩行者扱いで操作も簡単なので歩きにくなった人の足として活躍してくれます。
普通に購入すると高額ですが、介護保険の認定を受けるとレンタルで借りれるものもあり、歩行が困難になった人は歩行器や電動カートの活用を検討しても良いかもしれません。
介護保険サービスの利用
身体的な低下から買い物が難しくなった人を助けるサービスとして、介護保険の訪問介護があげられます。ヘルパーさんに来てもらって買い物をしてもらったり、調理の手伝いをお願いできるもので、希望に合わせたサービス調整が可能です。
ただし介護保険サービスを利用するためには介護認定を受ける必要があり、必要な手続きを進めたい人は地域の介護相談窓口に連絡してみましょう。
介護認定を受けなくても少し利用料は高くなりますが、有償サービスでヘルパーを利用できるサービスもあり、自分の身体状況や希望に合わせて選択することをお勧めします。
宅配サービスの利用
買い物ができにくくなった人に対して最近は宅配サービスが増加しています。ネット通販だけでなく地元のお店からも自宅に持ってきてくれるサービスやコンビニのデリバリーサービスもあるため自分の住んでいるところで良い宅配サービスを探してみるのも良いでしょう。
また宅配サービスと同じようにお弁当の配食サービスもお勧めです。健康を考えた栄養バランスの良いメニューになっているお弁当が多いため、一人暮らしでコレステロールや血糖値が気になる人は是非試してみてください。
まとめ
今回は高齢者の買い物における問題にふれ、そのあと移動手段や解決方法について解説しました。買い物は高齢者が生活するにあたり必要な物資を購入する手段であり、安全に継続していただければと思います。
また外出機会が減るとどうしても人は意欲が低下し、徐々に認知機能も低下してしまいます。買い物を目的とし外出の機会を持つことは人や社会とのつながりを維持し、活動機会にも繋がるはずです。
なかにはどうしても外出が難しい人もおられると思いますので、その時は無理せずに宅配サービスや介護保険サービスの活用も有効と思われます。
今回の記事が今の困りごとを少しでも良い方向に進めるきっかけになれば嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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